オーシャンステークス
オーシャンSが行われる中山芝1200mは、外回りの坂の頂上付近からスタートして、約4.5mもの坂を下って行くコース。スタートしてから約275mで最初の3コーナーを向かえますが、「どこがコーナー?」というくらいコーナーが緩いために、そこでスピードが減速することなく、ペースが上がりやすいのが特徴。
実際にこのレースの過去10年を振り返っても、全てが超~ややハイペース。平均~スローペースになったことは一度もありません。2019年にモズスーパーフレアが逃げ切りを決め、2015年~2016年のハクサンムーンが逃げて2着と好走していますが、それらは後のGⅠでも通用したように、G1級の実力馬ばかり。展開上、有利なのは中団~差し馬です。
しかし、追い込み馬は下り坂で加速したまま4コーナーをカーブすることになるので、大外を回るロスが生じやすい外枠の馬は不利でしょう。実際に2016年に1番人気に支持された、大外16番のアルビアーノが5着に敗れています。
こう書くと、外枠の追い込み馬はもちろん、逃げ、先行馬は狙い下げたくなるかもしれません。しかし、実力が上位なのは前に行ける馬です。これをどういうバランスで攻めるかが肝でしょう。
チューリップ賞
4年前にGⅡに格上げされたチューリップ賞。しかし、それにより桜花賞最大の前哨戦という感が薄らぎ、本番には繋がりにくくなりました。3年前のアーモンドアイや一昨年のグランアレグリア、昨年のデアリングタクトのように、トライアルを使わずに本番に直行する有力馬が多くなった一方、賞金が高くなったことで、ここを目標とする馬が多くなったからです。
また、チューリップ賞の全体的な傾向としては、牝馬のトライアル重賞らしく、無理をさせたくないことや折り合いを学ばせる目的もあり、スローペースになりやすいということ。過去10年でもっともペースが速くなったのは重馬場で行われた2015年ですが、その年も前半4F48秒5‐後半4F49秒2と平均ペースの範囲内。このため逃げ馬が穴を開けるケースが目立ち、過去10年の逃げ馬の成績は、1着1回、3着3回と悪くありません。
しかし、それ以上に前年の阪神ジュベナイルFで3着以内、上がり3F2位以内だった馬の活躍が目立ちます。阪神ジュベナイルFの3着以内馬の過去10年のこのレースでの成績は【8・3・5・3】。4着以下だったのは、2012年の優勝馬ローブティサージュと、2015年の 2着馬ウインファビラスと3着馬ブランボヌール。この3頭はいずれも上がり3F3位以下というのが共通項。同レースで1~2番手以内か上がり2位以内で3着以内の決め手ある馬が活躍しているのです。つまり、レースではスピード(先行力)と決め手が求められているということです。
ただし、今年は阪神ジュベナイルFの3着以内馬が不出走。押し出されるようにして、阪神ジュベナイルFの4着馬メイケイエールが断然の1番人気に支持されていますが、同馬は出遅れ癖があり、コントロールも難しい馬。最内枠に入った今回は、積極的に出していけばコントロールが難しくなり、折り合いに専念すれば包まれるリスクを背負います。対抗にはしたいけど、本命にはしたくないというタイプの馬に映りますが…。