■メイショウタバルの出方ひとつ
先週のローズSの予想で中京芝2000mは逃げ、先行馬が有利な舞台であることを書いた。結果、最後方からレースを進めた断然1番人気のレガレイラが5着に敗れ、逃げた11番人気のセキトバイーストが3着となった。
中京芝2000mと同様に、神戸新聞杯が行われる中京芝2200mも前半で急坂を上り、向正面半ばまで緩やかに坂を上っていくコース。ペースが上がりにくい舞台ではあるが、中京芝2000mとは違って初角(1角)までの距離が約500mとかなり長いため、大逃げ馬が出走、あるいは逃げ馬が多数だとペースが上がって差しが決まることも多々ある。
今回は皐月賞で大逃げを打ったメイショウタバルが大外15番枠。内枠にテンが速い馬が少ないので、同馬が逃げる可能性が高い。しかし、同馬の鞍上、浜中俊騎手は強引に押し進めることもあれば、極端に抑えていくイメージもある。
ただ、ほぼゲートを出たなりで先頭に立った毎日杯では平均ペースを刻んでおり、何が何でもハナという馬でもない。判断が非常に難しい馬ではあるが、前走と同じ轍は踏まないとみて予想したい。想定ペースは“平均”だ。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
中京11R 神戸新聞杯 芝2200m
◎ (6)メリオーレム
○ (15)メイショウタバル
▲ (7)ヴィレム
注 (10)ミスタージィティー
△ (11)ショウナンラプンタ
△ (1)ジューンテイク
△ (12)ウエストナウ
結論 馬連6-15,7,10,11,1,12 (14:9:6:7:7:7) 複勝6 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (6)メリオーレム
すみれS、プリンシパルSでは3、2着に敗れてクラシックへの出走は叶わなかった。前走の西部スポニチ賞はプリンシパルSから大幅距離延長での出走となった。
前走は1番枠からまずまずのスタートで、軽く促して位置を取りにいったが、そこまで進まず、徐々に下がり4番手を追走した。
スタンド前では前2頭から離れた4列目の内を進み、2周目の3角手前から徐々に進出。3角では最内を通り、4角で先頭列との差を馬なりで一気に詰めて外に進路を取り、そのまま先頭に立って直線に入った。直線序盤で伸びて後続と3/4差。ラスト1Fで突き抜けて4馬身差で完勝した。
3角手前から仕掛けて長くいい脚を使っており、いかにもステイヤーというレースぶりだった。
神戸新聞杯は例年、前走2000m以上に出走していた馬が活躍する舞台。日本ダービー組の上位馬が活躍することが多いが、今年は日本ダービーの1~9着馬が出走しない。「日本ダービー組<芝2000m以上の条件戦」の勢力図が作られている。
芝2000m以上の条件戦組が多数出走するが、西部スポニチ賞の指数がNo.1。メリオーレムはここでは一番の上がり馬ということになる。
気になる点を挙げるなら、成長する前とはいえ中京芝2200mのすみれSでサンライズアースに4馬身半差も離された3着に敗れていることだが、このレースでは3~4角で包まれ、スムーズな競馬ができなかった。
すみれSのサンライズアースは前半3Fという早い段階から脚をタメており、100点満点に近い立ち回りだった。メリオーレムも同馬のようにスムーズにいけば、もっと着差は詰まっていただろう。メリオーレムは長距離がベストだが、芝2200mも悪くない条件。能力値1位のここで本命に推す。
○ (15)メイショウタバル
デビュー4戦目の若駒Sはレース直前の歩様の乱れで除外となってしまったが、それを除けば昨年12月の未勝利戦から3連勝で重馬場の毎日杯を優勝した。
毎日杯では4番枠からまずまずのスタートを切り、ハナを主張。道中は1馬身のリードを保ちながら進め3角で息を入れた。4角出口で後続をすっと引き離してリードを1馬身半差まで広げて直線へ。そこからどんどん後続を引き離して5馬身差、ラスト1Fでリードを広げて6馬身差の圧勝だった。
毎日杯当日は、10Rの丹波特別(2勝クラス、阪神芝1600m)でも、7頭立ての4番人気ヒルノショパンが逃げ切り勝ちを収めているが、このレースは5F通過が61秒1とかなりのスローペース。毎日杯は芝1800mで前半5F59秒6と平均ペースまで速くなった。
重馬場でかなり時計が掛かっていたことは明確で、豊富なスタミナがなければ逃げて圧勝することはできなかったはず。ここではメンバー中でNo.1の指数を記録している。
前走の皐月賞は5F通過57秒5と超高速馬場を考慮しても暴走レベルの逃げ。しかもこの馬はテンがそれほど速くなく、2番枠から押した上でこのペースだから、かなり苦しい競馬だった。
今回はスタミナが不足しがちな休養明けで距離延長、インコースの馬場が悪化と、逃げ馬には厳しい条件がそろっているが、平均ペース前後の逃げなら十分に押し切る力はある。日本ダービーの上位馬が不在のここは対抗に推したい。
△ (7)ヴィレム
ヴィレムはデビュー3戦目のすみれSまで外枠だったこともあり、逃げ馬の外2番手で競馬することが多かった。すみれSは3角でサンライズアースにマクられて急にムキになり、控えてそのまま失速し8着に大敗した。揉まれ弱さを見せた。
次走のプリンシパルSでは、意識的に抑えて中団の外で進めて2着メリオーレムとクビ+アタマ差の4着に善戦。前走の1勝クラスでも位置を下げて後方外から差し切って勝利と、末脚勝負に徹する競馬で結果を出した。
前走は4番枠から五分のスタートを切って中団中目を追走。道中で外からロードヴェスパーが先団まで押し上げたことで、後方2列目の外まで下がったが、3~4角で中団の外まで上がって直線に向いた。
直線序盤で大外に出て、ラスト2F目で追われると一気に好位のスティンガーグラスの外まで上がった。ラスト1Fでスティンガーグラスと併せて伸び、最後に抜け出して半馬身差で勝利した。
2着スティンガーグラスは次走の1勝クラスを5馬身差で圧勝。先週のセントライト記念でも出遅れて最後の直線でスムーズさを欠く場面がありながらも5着に善戦している。3着ブラックヴァールも次走で1勝クラスを勝利し、次々走の2勝クラスで連対しているように、なかなかの強豪が集っていた。
前走指数はメリオーレムやバッデレイトに見劣るが、1勝クラスの遅い流れでゴージョニーゴーやオールセインツと同等の指数を記録したことは高い評価ができる。またヴィレムは6月から休養させており、春のクラシック組同様に、今夏の成長力が見込める。
注 (10)ミスタージィティー
今年3月の若葉賞の勝ち馬。同レースでは3番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚が速く、いったん先頭に立ってハナをちらつかせた。外からホウオウプロサンゲが等が上がってくると、無理なく4番手。上手く逃げ馬ウオウプロサンゲの後ろをスペーを作って追走し、向上面半ばから徐々の差を詰めて3角へ。
ただ3~4角でもそこまで上がってこず、2列目の最内で我慢。直線序盤でホウオウプロサンゲにすっと並びかけて先頭列に。ラスト1Fでしぶとく伸びて、同馬を半馬身かわして勝利した。
前々走の皐月賞は(15)メイショウタバルの狂気の大逃げで前後半5F57秒5-59秒6とかなりのハイペース。ここでは5番枠から先行争いに加わって、そこから下がる形で好位の内目とある程度ポジションを取りにいったために10着に敗れた。
一方、逃げ馬不在で超絶スローペースとなった前走の日本ダービーでは7番枠からゲート出たなりで進めていたら、後方に下がり、最後方からの追走。3~4角でも後方内々で包まれており、さすがに厳しく、ブービーに敗れたのは仕方ない。
ミスタージィティーが自己最高指数を記録したのは若葉賞。近2走は不利な展開で敗れており、休養中の成長も加味して要警戒だ。
▲ (11)ショウナンラプンタ
今春の青葉賞の2着馬。同レースでは15番枠からやや出遅れ、そこからコントロールしながら進んだが、1~2角でかかって中団外まで押し上げてしまった。
向正面序盤でも折り合いに苦労していたが、トロヴァトーレの後ろでなんとか折り合い、3~4角では中団の外で我慢した。
直線序盤で追われると手応えほど伸びなかったが、ラスト2Fで伸びて好位列まで上がった。ラスト1Fで先頭に立ったシュガークンに迫ったが、アタマ差及ばず2着に惜敗した。
折り合いを欠いて位置を押し上げていくロスや、終始外々を回るロスを考えれば、好位の内目をロスなく立ち回った勝ち馬のシュガークンよりも強い内容だった。
前走の日本ダービーは逃げ馬不在で超絶ペースが遅く、中団外目でかなりかかった。3~4角で内を通った馬が上位を占めるなかで、外を回るロスがあり15着に敗れた。
折り合いに大きな課題があり、ハイペースの内枠がベストのタイプだ。前走は能力を出し切る内容ではなかったことから、(1)ジューンテイク同様に軽視はできない。(15)メイショウタバルがペースを引き上げる展開になれば、折り合いが楽になるのでチャンスはある。
△ (1)ジューンテイク
今春の京都新聞杯の優勝馬。同レースでは1番枠から五分のスタートを切り、そこからかなり押して、2列目の内目を確保する形。道中はかなりのスローペースで逃げる(12)ウエストナウの後ろで、スペースを維持して進めた。
3~4角で外から各馬が動いていくなかで、2列目の最内で我慢して直線へ。直線では序盤で最内を突いてしぶとく伸び、ラスト1Fではそのまま抜け出して1馬身差で完勝した。
前半はややかかってはいたが、枠と展開を最大限に生かす、完璧な騎乗だった。京都新聞杯までのレースではスピード不足で先行できず、中団からの追走でキレ負けするパターンが目立っていたが、ここではポジションを取って、上がりの速い決着にも対応できたことが大きい。こういう競馬ができれば、幅広い展開に対応できるはず。
前 走の日本ダービーは、逃げ馬不在で京都新聞杯以上のスローペース。かかって3~4角で最内を通りながらも伸びず、10着に敗れた。前々走の京都新聞杯で日本ダービーの出走権(賞金加算)を取りにいって好走した疲れもあったようで、度外視できる内容だった。
内が悪化した馬場の内枠で、上手く中目に誘導することが条件になるが、今回は(15)メイショウタバルが出走するので、近2走よりもペースは速くなるだろう。(11)ショウナンラプンタ同様に巻き返しに注意だ。
△ (12)ウエストナウ
遅生まれで今年4月のデビューとなったが、4月の阪神芝1800mの未勝利戦では13番枠から出遅れて後方からの追走となったが、そこから中団内目まで挽回していく形。3角で最内を通して、4角でスペースを詰めて外へ誘導。進路確保雑をするとじわじわ伸びて3列目まで上がる。ラスト1Fでそのまましぶとく伸びて2馬身差で完勝。キャリアが豊富な馬たちを相手に勝利したのは素質が高ければこそだ。
デビュー2戦目の前走、京都新聞杯では2着。ここでは5番枠からまずまずのスタートを切り、押して積極策にハナを主張し、楽にハナを取り切った。そこからはコントロールして進め、向正面では顕著にペースを落とし、団子状態に。3~4角の下りでじわっと仕掛けてペースを上げ、4角で各馬外の広がっていく仲、最短距離で先頭を維持。序盤で内から△(1)ジューンテイクが迫ってきたがしぶとく踏ん張ってクビ差。ラスト1Fで内から捌いてきたジューンテイクに抜け出されて1馬身差をつけられたが、2着はしっかり死守した。
ウエストナウと同様に、デビュー2戦目で挑んだ(5)オールセインツが13着に大敗しているように、デビュー2戦目で重賞で通用することは簡単なことではない。その後、疲れが強く出たようで、ここまで待っての出走となったが、この休養中に成長しているならば怖い一頭だ。